長崎新聞・1997年(平成9年)2月18日付け
松浦のエンマキ商事 容疑の元課長逮捕(佐世保署など)
あれだけの事件だったのに長崎新聞の報道は上記の一回だけで終わっている。何らかの政治的圧力が掛かったのか、金っ子が動いたとしか思えない、見事な終わり方である。15億円もの横領事件で、その会社の社長が衆議院議員の金子原二郎氏だというのにである。しかも、この年の9月、4期16年知事を努めた高田勇氏が知事選不出馬を表明すると、部下の15億円横領事件の公判中にも拘らず、金子原二郎氏は平成10年2月の知事選に出馬の色気を示す。今でも、残念でならないのが、西岡武夫氏の出馬表明の遅さだった。あの時に2ヶ月、せめて1ヶ月早く、西岡武夫氏が出馬を表明していたら、金子知事誕生はなかった。金子氏は出馬さえできなかっただろう、と、今でも私は信じている。
とりあえず、エンマキ商事(金子原二郎社長)15億円横領事件の記事をそのまま引用する。
【佐世保】佐世保署と松浦署は17日、松浦市調川町の魚介類卸会社、エンマキ商事(金子原二郎社長)から1400万円を横領したとする業務上横領の疑いで、同社の元総務課長(現日本遠洋旋網漁協食品加工部課長)○江寛容疑者(38)=北松吉井町=を逮捕した。同社の内部調査では商品先物取引の失敗で横領の総額は十数億円に上るとみられ、両署が追求している。調べでは、○江容疑者は同社の総務課長をしていた昨年3月8日、同社の普通預金口座から架空名義の自分の口座に1400万円を振り込み、横領した疑い。同容疑者は大筋で容疑を認め、小豆、生糸、ゴムなどの先物取引に使ったと供述しているという。
同社は日本遠洋旋網漁協の子会社。同容疑者は平成3年6月から昨年9月まで、同社の出納業務をほとんど一人で担当していた。昨年6月ごろ疑惑が浮上し内部調査したところ、平成6年2月から8年3月までの間の横領額が十数億円に上ることが分かり、先月30日に刑事告訴した。帳簿などに架空取引や金額を上乗せした取引を記載、隠ぺい工作していたとみられる。
同署は同日、同漁協水産加工場など3ヶ所を家宅捜査し、同容疑者の通帳などを押収した。
「信じられない」
松浦市場、暗いムード広がる
【松浦】余罪十数億円という巨額の横領事件が明るみに出て、エンマキ商事が入る松浦市の松浦魚市場では「信じられない」「残念でならない」などと暗いムードが広がった。
17日午前9時すぎ、家宅捜査を受けた日本遠洋旋網漁協食品加工場では、事務員二人が電話対応に追われながら不安な表情で捜査員の動きを見守った。同僚は一様に「仕事ぶりはまじめ、温厚で物静かな人だったのに」と信じられない口ぶりだ。
同社は、同漁協の商事部門子会社として昭和57年設立(資本金一千万円)。平成7年の年商は57億5700万円。○江容疑者は昭和60年、同漁協から同社に転籍。一貫して経理畑を歩み、平成3年から総務課長を務めた。
同社は内部調査中の昨年10月、同容疑者を漁協に出向させていたが、調べの中で「転がるように深みにはまっていった。隠ぺい作業のため残業していた」と漏らしていたという。
発覚が遅れた点について、宮本啓史同社専務は「コンピューターの帳簿データーが巧妙に数字操作され分からなかった」と説明。容疑者の上司はすべて同漁協の他子会社の役職を兼務・・・・・
これだけの事件を起した会社の社長が、金子原二郎氏で、しかも、事件から半年も経たないうちに長崎県知事選に出馬の意向を示すんだから、金子氏の面の皮の厚さにも驚きだが、それを平気で担ぐ、長崎県政財界の神経には呆れてしまうばかりである。ここまでくれば、人が良いを通り越して、バカ、どうしようもないバカどもである。ちょうど、その頃、金子知事誕生に谷川建設(株の投機失敗で40数億の穴を開け18銀行の銀行管理だった)の社運と政治生命を掛けて、奔走していたのが、当事、自民党長崎県連政調会長だった谷川弥一県議で、その悪運の強さは見事である。谷川弥一氏の出世に長崎新聞の小川完二専務(五島・福江支局勤務経験)、従兄弟で長崎県警捜査2課係長だった谷川フジオ(現在・親和銀行顧問)の存在は大きかった。しかし14年後の現在、一度は葬ったはずの政敵が復克、谷川弥一族の諫早湾干拓入植疑惑を小林克敏県議が中心になって解明に力が入るのは偶然ではない、因果応報の必然である。
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横領額は十数億円か
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